歩行分析とOAトータルケア

整形外科医との連携により、1年後のレントゲン像でもはっきりとした改善が確認できた。

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ケース④82歳女性
患者病歴:20年以上前に左膝蓋骨を机の角にぶつけてから痛み出し、徐々に症状が悪化する。ここ10年の間にくも膜下出血で2度倒れ、入退院を繰り返し、1年前より膝の症状が悪化する。厚生年金病院にてリウマチ陽性の変形性膝関節症と診断される。その後、ヒルロン酸注射、リウマチ薬(ヒュミラ)の皮下注射、抗炎症薬、固定サポーターを処方しても効果が出ず、歩行困難と寝がえりでの痛みが増強し、手術適応との診断を受ける。手術2週間前にその事実を知った施術者である私が整形外科担当医に3か月の猶予を頂き、カイロプラクティック施術を試す。(今回のケースは、患者が施術者の親であり特殊なケースである)
臨床所見:膝関節は、軽度屈曲した状態で、伸展は不可。屈曲も60度。結果、左膝関節の可能域は20度~60度の限られた可動領域である。腫脹は内外側に見られる。歩行は、杖を使い軽度屈曲状態で痛みを伴う。踵骨は過度に内反固定され可動域制限がある。
仮説分析:整形外科での診断・触診・症状からも重度のOAと判断する。

施術方針:歩行困難のため、通院できず自宅での加療を週に2度行う。初めに大腿・下腿後方筋群の拘縮を取り除くよう、温パックしその後循環を良くするためにオイルによる緩和操作行う。膝裏部は、軽く牽引を加え、関節腔が開くようにしながら膝裏筋群のリリースを行うようにする。また膝蓋大腿関節の可動域改善も行う。踵骨の外反支持テーピングと大腿四頭筋補助テーピング継続する。その後、大腿四頭筋(特に内側広筋斜頭)の強化を図る。また、体幹のバランスも同時に取り除く。自宅での、大腿四頭筋の内側斜頭強化と膝裏のリリース法についてのセルフトレーニングは、指導強化する。

経過:週に2度の施術を2カ月行い、その後週に一度の施術にする。3か月経過後には歩行が楽になる。その後2週に1-2度の加療1年間継続する。厚生年金病院にて再度レントゲン撮影行い、関節腔の広がりが確認される。膝関節の屈曲可動域も10度~80度に改善する。整形外科に於いて月に一度のリウマチ薬(ヒュミラ)の皮下注射と月に1-2度のカイロプラクティック治療継続中である。(2011年11月~現在2015年1月時点)現在は、日常生活では杖なしでも歩行可能になり、膝の屈曲以外は不自由がなく生活で来ている。
治療計画修正:自宅での下腿ストレッチを当初より処方したが、ストレッチすると拘縮が強いために逆効果になるので、お風呂でのセルフマッサージに変更する。踵骨内反強く、治療開始後1カ月後から始めた外反固定のテーピングは、疼痛軽減と歩行を楽にしたようである。
結果:開始3カ月後には、歩行が楽になり、厚生年金病院の担当医師からも手術回避可能であるとの御診断頂き、1年後のレントゲン像でもはっきりとした改善が確認できた。関節腔を開きながらの大腿四頭筋(内側斜頭)の強化と膝裏の筋リリースの効果は、変形性膝関節症には欠かせない治療と判断する。セルフトレーニングの指導も重要であると考え、自宅壁に体操チェック表を貼ったのも効を奏したと思われる。
考察:親族と言う特殊なケースではあるが、歩行困難な重度のOAであったので、出張治療を行うしかなかったのが逆に定期的な施術を可能にし、外出のリスクも軽減できたと考える。また、この患者の場合、60代まで理容師であり日常立仕事が多かった事と階段の上り下りを一切していなかった。その状態で膝蓋骨を強打し、その打撲により通常でも弱化していた大腿四頭筋の活動が一時的に中断し、その後下腿筋群の拘縮スピードを加速させ、膝関節の筋拮抗を崩し(下腿拘縮と大腿四頭筋の弱化は相関関係にある)変形性が更に進んだのではないかと推測している。
また、リウマチ薬(ヒュミラ)の皮下注射、抗炎症薬の併用があったからこそ可能になったケースと考える。重度のOAであり、リウマチの場合は薬物療法との併用なくしては治癒に導くことは難しいとも言える。

症例④ 82歳女性
膝関節レントゲン(立位AP像)の変化(2011年11月→2012年12月)

膝変化2011      膝変化2012

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